2009年12月2日
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朝日新聞の建設国保報道(11/30付)に対する千葉土建の見解 |
千葉土建一般労働組合 第526回中央執行委員会
1.朝日新聞の建設国保に関する記事(11/30付)の主な内容
1)「入院医療費、実質タダ」付加給付、多額な補助金と記事を掲載
11月30日付朝日新聞朝刊は、1面に「入院医療費、実質タダ」の見出しで、「入院医療費自己負担について、サラリーマンら現役世代は3割と法律で定められているが、建設業者らが加入する11の国民健康保険組合は実質無料にしている。」と報じ、「国保組合の補助は08年度で1378億円、医療費の4〜6割負担している。」「法定給付を大きく上回るサービスを提供する組合に税金を投入し続けることを疑問視する声が出ている。」と、@多額な補助金A不当な付加給付との論点で記事が掲載されました。
2)「削れぬ建設国保補助」の見出しで全建総連を狙い撃ち、「既得権」問題を主張
また、同新聞は社会面(38面)を使い、「削れぬ建設国保補助」「与野党議員が後ろ盾」と取材した厚生労働省幹部の発言を掲載「国保組合への国庫補助は理屈が立たない。最も削るべき国庫負担のひとつだ。」と多額の補助金に手がつけられないのは与野党に広がる政治的影響力の高さであると論じています。第50回全建総連大会の仙谷大臣や自民党の長勢元法務大臣の来賓あいさつを引用し、「建設現場での人脈を通じた集票力」と断じ、選挙での集票力=既得権に手が出せず、手厚い補助があると結論づけ、全建総連関係の組合(165組合中、任意給付は113組合)を狙い撃ちしているのが今回の記事の特徴です。
2.朝日新聞社の基本的視点と問題点
1)基本的視点=前回(95年)同様『付加給付』『補助制度(多額と称して)』を論点に
朝日新聞は、95年7月に5回にわたり記事を連載しました。今回も@付加給付(実質無料)A補助制度B既得権の3点の基本的視点に立って、つくられています。さらに全建総連を狙い撃ちにした記事は、前回と異なるものです。また、2010年度予算策定の中で民主党政権に対する揺さぶりをかけると同時に前回朝日新聞の社説で主張した「市町村国保と国保組合との間で、保険料負担と受ける医療サービスとの公平になるよう改善する必要がある。」と論じ、誤った「給付と負担の公平」論を今回も展開しているのが特徴です。
2)掲載記事に対する問題点
(1)多額な補助についての反論と問題点
健康保険の補助制度、財政力、加入者の特徴により成り立っています。公営国保は、無職者や低所得者などを対象者にしているため、補助が厚く、協会けんぽは、中小企業中心に事業主負担の軽減など国庫補助(13%)があります。健保組合は大企業を中心としているため国庫補助はありません。(補助は実務費程度)
こうした補助制度の中で朝日新聞の論点では、建設国保が多額な補助金と断じています。記事には、全建総連関係の国保組合は、「保険給付に対する国庫補助率は平均47.5%12組合が5割を超える。」としています。しかし、公営国保には保険給付に対し50%の公費補助(国が43%、都道府県が7%)がされています。さらに、低所得者対策の保険料軽減に対する補助制度が公営国保にはあります。一方、国保組合の補助率の相違は、財政力(医療費の補助率は47%を限度に頭打ちとなっています。
また、私たちは千葉県からの補助は全く受けておらず、朝日新聞には、公営国保の補助制度の記載はなく、あたかも建設国保が多額である印象を持つ記事であり、先に触れた基本的視点に基づいた、結論的記事となっています。
(2)任意給付(付加給付)に対する問題点=任意給付は法律で認められた制度です
第2点目は、「高い水準の保険給付をしている」という任意給付のあり方です。この間、朝日新聞が主張してきた任意給付(付加給付)は、「給付と負担の公平」に反するというものです。国保組合の任意給付は、国保法第12条、43条、58条に規定されており、保険者の判断で任意給付ができることになっており、その内容も認可庁である東京都との協議を前提に制度化されており、国も東京都も認めている制度です。
国や都から補助されるのは国が定めている法定給付のみ(医療費、高額療養費など)で任意給付に対する補助はありません。この制度は、国保組合員である仲間の保険料から賄われるもので、国庫補助があるからできるというものではありません。また、任意給付は健保組合や共済組合でも実施されており、法律に基づいた制度です。別表の通り任意給付を実施するために私たちは、高い保険料を支払っています。
(3)私たちの要求運動をねじ曲げた「組織と選挙=癒着構造」と「既得権」の論点
また、社会面で報じられている「削れぬ建設国保補助」の論点は、組織力=選挙(集票力)と結論づけ、「政官癒着」構造として社会的正当性を主張しようとしています。しかし、私たちは、組合員の「政党支持の自由」と「政治活動の自由」を保障し、私たちに必要な建設国保を守り、育てるために仲間が手を取り合い、協力し運動している実態を無視しており、「既得権」として報道する視点に立つ、きわめて恣意的なものと言わざるを得ません。
3.私たちの主張と社会的正当性
1)憲法第25条に立脚した「負担と給付の公平」=所得再分配機能の拡充
社会保障制度は、「すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とした憲法第25条に基づいた制度です。医療制度で言えば、健康を維持するため医療にかかる費用(必要な医療給付)は、生きていく上での権利であり、その負担は応能負担の原則に基づき負担されるべきものです(負担できる範囲での負担)。したがって負担=給付にはならず、給付はその人に必要な給付を、負担はその人の生活実態(財政力=収入)に応じて求められるものです。
2)医療保険制度の建設国保の役割と社会的正当性
建設現場は現在でも重層下請け構造で、建設労働者の多くは賃金を日当で受けています(日当を月間の労働日数で乗じて支払う「日給月給」などを含む)。現場での技術を伴うチームによる集団的な肉体労働は、他の自営業と異なり家族による代替が効きません。加えて、病気で仕事を休んでも、賃金の補償は一切ないのが実態です。
建設国保組合は、こうした就労形態や労働実態から建設労働者を守るために設立されました。社会保険の適用外である私たちにとって必要なものとして、国に健康保険の適用を求め、運動をすすめ日雇健康保険制度をつくらせ、擬制適用廃止の中で現在の国保組合を設立してきた歴史的経過と社会的役割が、この制度で維持されています。
3)朝日新聞記事に対する対応
(1)朝日新聞に対し、記事の問題点を主張するため全国の仲間に働きかけます
千葉土建は、こうした事態に対し朝日新聞の恣意的な報道に記事の問題点を指摘し、社会的な正当性を主張するため、全建総連、東京都連に働きかけます。
中建国保にも記事の内容を精査し、検討するよう要請します。
(2)誤った認識を持たせないため、東京都や議会に対する対策をすすめます
千葉土建として中建国保同様名指しされた東京土建国保と母体組合の東京土建と共同歩調を進め、東京都や都議会会派に対し、誤った認識が生まれないよう、私たちの社会的な正当性を訴え、理解を求めるとともに、補助制度に影響を受けないよう働きかけます。
(3)2010年度予算闘争と連動し、国会や厚労省に働きかけます
予算の最終盤での記事掲載は、2010年度予算にも影響が懸念されます。12月の都連行動や東日本行動、地元国会議員要請でも、建設国保の歴史的経過や社会的必要性について改めて、訴えていきます。
(4)共同・共闘団体へ対する対策
千葉労連、社会保障推進千葉県協議会、東京地評、東京社保協など労働組合や諸団体に対し、誤った報道の理解を求め、医療保険一元化の動きとあわせて、共同の運動が築けるよう働きかけます。
4.社会保障拡充を求める運動の前進へ向けて
1)建設国保の報道は、構造改革路線上の「給付と負担の公平化」にある
一連の建設国保への報道で主張されている構造改革路線上の「給付と負担の公平化」の論点は、建設国保に対する制度見直しに限らず、今後予想される医療保険制度の一元化構想ともリンクします。
2)医療保険一元化と補助制度見直しを許さないたたかい
今後、私たち建設国保に対する風当たりが強まる可能性があります。先に触れた当面の対応とともに、医療保険一元化や国保組合補助制度の見直しを許さず、国民皆保険制度を拡充する立場で、さまざまな国民各階層と中央・地域で運動をすすめていきます。 |